正しい服のサイズ選びは、快適な着心地や美しいシルエットを叶えるためにはとても重要です。
今や把握しきれないほど多くのブランドが存在し、購入方法も多様化してきているため、自分に合ったサイズを正しく選ぶ知識は欠かせません。
この記事では、自分に合ったサイズ選びのポイントをわかりやすく解説しています。
杏奈この記事では、元アパレル販売員の私が「服のサイズを選ぶ際に意識しておきたい3つのポイント」をご紹介しています!
- 自分のスリーサイズや寸法を把握しておく
- 計算や願望にとらわれず、現実に即したサイズを選ぶ
- 実際に試着してみてフィット感やバランスを確認する
簡単そうですが意外に奥が深いため、それぞれのポイントを記事内で解説していきます。
途中、ちょっと厳しめの内容も出てきますが、この記事を参考に、ぜひあなたの洋服選びに役立ててくださいね!
自分のスリーサイズや寸法を把握しておく


服のサイズ選びの第一歩は、「自分の身体の寸法を正しく把握すること」です。
ブランドやデザインによって、例えば同じ「M」でも寸法は大きく異なります。
サイズ表示のみに頼っていると、実際の体の寸法とサイズが合わず、最悪の場合は、着用困難といったケースも出てきます。
そのため、まずはサイズの指標であるJIS規格(日本産業規格)や、自分自身のスリーサイズを理解するところから始めましょう。
JIS規格のサイズを理解しよう
2023年の改正により、「JIS規格(日本工業規格)」にはSS〜6Lまでの幅広いサイズとともに、男女兼用の基準が追加されました。
JIS規格サイズ表
JIS規格では、下記のように男女別でサイズが定められています。
女性用サイズ(身長154~162cm)
| 呼び方 | SS | S | M | L | LL | 3L | 4L | 5L | 6L |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| バスト | 65~73 | 72~80 | 79~87 | 86~94 | 93~101 | 100~108 | 107~115 | 114~122 | 121~129 |
| ヒップ | 77~85 | 82~90 | 87~95 | 92~100 | 97~105 | 102~110 | 107~115 | 112~120 | 117~125 |
| ウエスト | 52~58 | 58~64 | 64~70 | 69~77 | 77~85 | 85~93 | 93~101 | 101~109 | 109~117 |
- トップス(ブラウス・ジャケットなど)は「バスト」が基準。
(「肩幅」も重要ですが、後で解説しますね) - ボトムス(スカート・パンツなど)は「ウエスト」「ヒップ」が基準。
- ワンピースは、スリーサイズを基準にして全身のバランスをチェック。
男性用サイズ(身長145~185cm)
| 呼び方 | SS | S | M | L | LL | 3L | 4L | 5L |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| チェスト | 72~80 | 80~88 | 88~96 | 96~104 | 104~112 | 112~120 | 120~128 | 128~136 |
| ウエスト | 60~68 | 68~76 | 76~84 | 84~94 | 94~104 | 104~114 | 114~124 | 124~134 |
| 身長(参考) | 145~155 | 155~165 | 165~175 | 175~185 | 175~ | |||
若い世代を中心に体格が変化してきていますが、JIS規格はあくまでも平均的な指標です。
実際に服を選ぶ際には、自分の体の寸法(実寸)をもとに選ぶとフィットしやすいでしょう。
号数表記
また、JIS規格では以下のように「号数」や、補足的には「身長区分」で表記されることもあります。
【女性の号数表記】
| 号数 | 対応サイズ | バスト | ウエスト | ヒップ |
|---|---|---|---|---|
| 5号 | SS | 約77 | 約58 | 約83 |
| 7号 | S | 約80 | 約61 | 約86 |
| 9号 | M | 約83 | 約64 | 約89 |
| 11号 | L | 約86 | 約67 | 約92 |
| 13号 | LL | 約89 | 約70 | 約95 |
| 15号 | 3L | 約92 | 約73 | 約98 |
| 記号 | 意味 | 対応身長 |
|---|---|---|
| P(PP) | Petite(小柄) | 約142~150cm |
| R | Regular(標準) | 約158cm |
| T | 長Tall(長身) | 約166cm |



女性衣類では、S、M、Lだけでなく、このような号数表記もよく使われています。
このほか、ブランドによっては独自の「1」「2」「3」や、偶数で表す「36」や「38」などの海外ブランド表記というものがあります。
いずれにしても、商品に記載されている寸法を照らし合わせれば、失敗を減らすことができるでしょう。
【メンズサイズの体形区分】
- スーツや礼服などのサイズ表記に用いられる
- 胸囲とウエストの寸法差(ドロップ値)を基準に10段階に分類
- 実際には市場で流通しているのは主に中間の6種類
| 体型記号 | 胸囲−胴囲の差 | 特徴・体形イメージ |
|---|---|---|
| J体 | 約20cm | 非常に細身、スリムな体型 |
| JY体 | 約18cm | 細身でやや筋肉質な体型 |
| Y体 | 約16cm | 細身体型、肩幅がある |
| YA体 | 約14cm | Y体よりややふくよか、標準寄りの細身 |
| A体 | 約12cm | 標準体型、バランスの良い体格 |
| AB体 | 約10cm | 標準よりややがっしり |
| B体 | 約8cm | やや太め、胴囲がやや大きい |
| BB体 | 約6cm | 太め体型、丸みを帯びた印象 |
| BE体 | 約4cm | ふくよか体型、腹部が出ているタイプ |
| E体 | 約0cm | 胸囲と胴囲がほぼ同じ、大柄・ずんぐり型 |
ビジネス・フォーマルなシーンの服装は、自分の体形に合うサイズをしっかりと選ぶことでフィット感が高まります。
自分の寸法を把握しよう
実際に採寸する際は、できるだけリラックスした状態でメジャーを使い、周囲の人に手伝ってもらうとより正確に測ることができます。
実測した数値はスマホなどにメモしておき、ネットショッピングや店舗でのサイズ選びに役立てましょう。
| 採寸箇所 | 測り方 |
|---|---|
| 肩幅 | 肩の一番出ている骨から首の後ろ中央の出っ張った骨を通り、反対側の肩先まで測る |
| バスト | 胸の最も高い位置を水平に1周する |
| ウエスト | 腰の一番くびれている部分を水平に測る |
| ヒップ | お尻の一番ふくらんだ部分を1周する |
| 股下 | ・股の付け根から床までの長さを、左右の足の内測に沿って測る ・パンツの股の中央の十字の縫い目から、縫い目に沿って裾まで測る |
肩幅やヒップの寸法は、バストやウエストに比べるとややおろそかになりがちですが、サイズを決める際の重要なポイントです。
自分の寸法がわかれば号数やブランド表記にとらわれずに判断できるようになりますので、定期的に把握しておくと良いでしょう。
参考:全日本婦人子供服工業組合連合会
婦人服サイズ表示の豆知識
計算や願望にとらわれず、リアルなサイズを選ぶ


サイズ選びの2つ目のポイントです。
計算や願望にとらわれず、客観的に判断して現実に即したサイズを選ぶ
服のサイズ選びの際には、
「余計な計算をしない」
これが大事です。
たとえ自分の正しいサイズを把握していたとしても、服を選んだり購入する際には、必然的にメンタルや思い込みが影響してきます。
次のような一例に、思い当たることはないでしょうか?
- 私はいつもSサイズなのに、Mサイズのはずがない
- 本当はLサイズだけど、フリマで売る時にMサイズの方が売れやすいかも・・・?
- 今は太っているけど、そのうちに痩せる予定だからMを買っておこう



私は大丈夫だと思います。服を選ぶ時にそんな余計なこと考える人いるんですか?



まあまあ。実際にあった、私の体験談をお話ししますね。
昔アパレルで働いていた頃のこと。服を購入した20代の女性が、母親とともにお店に怒鳴りこんできたことがありました。
「娘が1、2回着ただけで破れたんですけど! このお店の服の縫製、一体どうなっているんですか?」
そう言ってお母さまがバーンと広げた服は、確かにトップスの左の脇の縫い目が裂けていました。
それだけを見ると、確かに服の縫製に問題があるようにも思えますよね……。だって、数回着ただけで服が破れてしまったのですから。
しかし、娘さんは販売員の必死のアドバイスを全てはねのけ、明らかに小さいサイズを強引に買っていかれたという経緯がありました。
着脱の際に無理な力が加わり、縫い目が裂けたのも当然といえば当然の結果です。
なぜ、そのようなことが起こったかというと──。
そのブランドが、他所(よそ)のブランドよりも小さめの作りだったからです。
その方は、いつも自分が着ているサイズよりもワンサイズ大きいサイズ表記の服を選択することが、自分に許せなかったのでしょう。
この方の場合は極端なケースです。しかし、実質的に自分の体に見合ったサイズを選ばなければ、このように服が破れてしまうこともありえます。
いつの場合でも、身体の大きさに合う服のサイズを選ぶという、当たり前のことを普通にやるのがベストなのです。
確かに、服を選ぶ際にサイズで葛藤することがあるかもしれません。
しかし、大人の服装は、「痩せる予定」「このブランドのサイズ設定が気に入らない」などの理由でサイズ選択を行うのはおすすめしません。



もうひとつ・・・
ゆったりしたデザインは、ゆったりと着るように作られています。入るからといってどんどんサイズを落としていくと、本来のシルエットが損なわれていきます。そこも覚えておいてくださいね。
少し厳しめの内容になってしまいましたが、外出している際に、その服のサイズの表記を知っているのは自分だけです。
服は、自分にフィットするサイズを着るのが一番綺麗なシルエットになるように作られています。
堂々と、あなたが最も美しいシルエットで着用できるサイズを選んでくださいね!
試着でフィット感や見た目のバランスを確認する


服のサイズ選びの最終段階は、見た目のシルエットやフィット感、さらには好みや直感なども加え、総合的に決めていきます。
客観的な視点をベースに、納得できる1点を選びましょう。
- 前後左右、鏡に映る姿を客観的にじっくり観察する
- その服の良さが損なわれるほどの窮屈感、ゆったり感はNG
- シルエット、丈などの全体的な着用感、着心地を確認する
店舗の場合
自分の寸法を理解していても、実際に服を購入するとなると、杓子定規や計算通りにはいかないものです。
店舗で購入する際は、大丈夫そうだと思っても、なるべく試着して販売員のアドバイスを受けることをおすすめします。



フィッティングルームから出ない方がいますが、購入予定のものはフィッティングルームの外に出てみましょう。少し離れてさまざまな角度から鏡をチェックすると、いろいろ見えてきます。
窮屈、ゆったりしている、丈が長い、短いなど、少しでも気になるところは販売員さんに遠慮なく相談してみてください。
販売員は同じ服を試着した大勢の人を見てきているので、大きめで着ているのか、それとも小さめギリギリで着ているのか、一瞬でわかります。
迷った時は、表記だけにこだわらずにニュートラルな視点で判断してみる視点を持ってみてくださいね。
ネットショッピングの場合
ネットショッピングの場合は、聞いたことのあるブランドだからと安心せず、アイテムごとにサイズ表の確認を行いましょう。
ひと手間かけることで、失敗を防ぐことができます。



モデルさんが写真で着用しているのは、多くの場合試作品です。写真は参考程度にしておいてくださいね。
一部の大手メーカーでは、気になる商品をネットから店舗へ取り寄せて試着できるサービスを展開しています。
しかし、一般的なネットショッピングでは、試着してから購入することは叶いません。バーチャル試着やサイズ比較機能が備えられている場合は、ぜひ活用してみてください。
家に届いた後はタグを切る前に必ず試着し、違和感があれば早めに返品・交換手続きを取りましょう。
よく知っているブランドなら失敗は少ないかもしれませんが、違和感があれば面倒でも返品・交換をし、ベストサイズを手に入れるよう頑張ってみてください。
服のサイズ選びで失敗しないために
服のサイズ選びのポイントを3点お伝えしました。
- 自分の基本サイズと寸法を知っておく
- 買う時に余分な計算や願望を入れない
- 最後はフィット感と、バランスで決める



ポイントを押さえて、ぜひ素敵な服選びをしてくださいね♡
