着物のクリーニングって、どこに出せばいいんですか?
結婚式や七五三、成人式・卒業式など、人生の節目ともいえる大切な行事に着ていく機会も多い着物。母や祖母から譲り受けた大切な着物をお持ちの方も多いでしょう。
「大切な着物をクリーニングに出したいけれど、下手な扱いをされたら大変」
そうは言っても、着物のクリーニングって、具体的にどこに出せばいいのかわかりませんよね。
着物のクリーニングは専門知識と技術がある業者だと安心です。
この記事では、着物クリーニング5店をご紹介しています。いずれの業者も宅配に対応しているので、高価な着物を持って外をウロウロする必要がなく、自宅で完結します。
「着物のシミやにおいが気になる」
「大切な着物を長持ちさせるお手入れを施したい」
など、着物のクリーニングをどこに出せばいいのか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
浴衣のクリーニングについてはこちらの記事をどうぞ↓
信用できる着物クリーニング業者を選ぶポイント
高価な着物は正絹(しょうけん)が使われており、絹100%のなめらかで上品な光沢感や着心地の良さが特徴的ですが、同時に非常にデリケートな素材でもあります。
当然、クリーニングにおいても専門の知識と技術を要します。つまり、一般的な洋服のクリーニング店では着物を引き受けてくれない場合が多いということ。
着物をクリーニングに出す際の業者選びのポイントです。
- 信頼と実績があり、着物クリーニングの界隈では名の通ったお店である
- 着物クリーニングの専門知識と技術を有する職人さんが在籍している
- 料金体系が明瞭・見積りがしっかりしている
- 希望するメニューが用意されている
安心して任せられ、さまざまな要望に応えてもらうためには、着物クリーニングの専門店に出すことが最も望ましいです。
利用する際は、料金が適正か、また仕上がり状態が良いかなどの口コミなどもしっかりチェックしましょう。
何らかの事情で専門店を利用できない場合は、着物コースがしっかりと用意され、信頼できるクリーニング店を選ぶようすると良いですね。
着物クリーニングの洗い方と頻度について
着物のクリーニングってどんなことをするの?
クリーニングは一般的に油性の汚れを落とす「ドライクリーニング」と水性の汚れを落とす「ウェットクリーニング」があります。
絹で仕立てられた着物は「ドライクリーニング」が基本です。ここでは着物のクリーニングを依頼する際の基本的な知識をお伝えしていきます。
クリーニングの洗い方をチェックしよう
良さそうな着物クリーニングのサイトを見つけたから、早速注文しよう…と思っても、聞き慣れない用語が出てきて先に進めない、なんていうことが、ひょっとするとあるかもしれません。
↓これですね。
- 丸洗い
- 洗い張り
「丸洗い」はお布団のクリーニングでも聞いたことがあるよ。
ややこしいけど、布団の「丸洗い」はウェットクリーニング、着物の「丸洗い」はドライクリーニングよ。
丸洗い
「丸洗い」は京洗いとも言われ、振袖・着物をほどかず、全体的な汚れを洗う一般的なドライクリーニングの方法です。「着物の丸洗い」と言えばこちらの方法を指すことが多いです。
簡単な油性の汚れにのみ対応しますので、飲みこぼしなどの水溶性のシミがある場合はシミ抜きオプションを利用しましょう。
- ファンデーション・口紅の汚れ
- 皮脂汚れ
- 食べこぼしなどの軽い油性の汚れ
- 表面についた埃や排気ガス、軽い泥ハネ
- コーヒー・ワインなど飲料のシミ
- カビ
- 汗・血液のシミ
- 黄変・時間の経ったシミ
- ボールペン
洗い張り
一方、「洗い張り」は着物を一度ほどき、反物の状態にして洗う方法。何とも手間暇かかった方法ですが、歴史的に見れば、もともとはこちらのやり方が主流とのこと。
洗い張りは水と洗剤で洗うため、油性と水溶性どちらの汚れにも対応できます。広範囲の汚れやシミなどの場合にも向いていると言えるでしょう。また、古ぼけた着物が新品の様に甦るのはこちらの洗い方です。
しかし、一度着物をほどいているわけですから、洗い張りは「仕立て直し」が必要になります。高額になる可能性もありますので、あらかじめトータルの料金がいくらになるのが確認しておくことをおすすめします。
単に値段の安さだけで判断せず、着物の汚れ度合いや状態に合ったサービスを提供している業者を選ぶと良いでしょう。
着物をクリーニングに出す頻度と料金の目安
日本の伝統技術がぎゅっと詰まった高価な着物のクリーニングの料金や頻度。料金や頻度はどうなっているのでしょうか。
料金
着物の丸洗いにかかる費用は、1着あたり8,000〜15,000円前後が相場
着物のクリーニングでは「下洗い」といって、手洗いによる手首や襟などの汚れを落とす工程が大切です。激安店では下洗いを行わず、機械洗いのみで終わりというところも。
自分ではほとんど汚れていないと思っていても、汗や皮脂など目に見えない汚れが付着していると、数年後に黄変やシミとなって現れることがあります。下洗いがきちんと工程に含まれている業者の方が良いのは言うまでもありません。
シミ抜きは、基本的に見積もりであることが多いです。
頻度
普段から着物をよく着る場合には毎回のクリーニングは必要なく、3~4回に一度で十分
当分の間着る予定がない振り袖や留め袖、喪服などの場合は、一度着用したら、しまう前にクリーニングに出すようにすれば良いでしょう。
着物の宅配クリーニング5社の料金を比較
現代では、一部の人を除き着物は特別な日にのみ着ることが一般的です。そのため家の近所に、呉服屋さんや着物専門のクリーニング店があるということは稀です。
忙しい現代、ネットで依頼し、宅配で届けてもらうネット完結型のクリーニング店がやはり便利ですね。
着物のクリーニングは専門店がおすすめですが、宅配できる店舗は数から言えばそれほど多くはありません。ここでは着物クリーニングの専門業者2店と、着物コースを設けているクリーニング店3店をご紹介していきます。
1.きものtotonoe
- 職人さんが着物のすみずみまで検品。シミや生地の状態などを適格に判断
- 難易度の高いシミ抜きや修正などの技術力に定評がある
- ネット通販の不安をなくす6つのお約束※つき
- 料金が安い。複数種類出したい場合はお得なセット割もあり
【きものtotonoe 】
振袖 | 7,920円 | シミ | 別途料金見積 |
留袖 | 7,920円 | 日数 | 繁忙期を除き3~4週間 |
喪服 | 7,920円 | 保管 | なし |
浴衣 | 3,960円 | 送料 | 往路は有料 |
技術力に定評のある きもの「totonoe」(ととのえ)は、全国の呉服店からの依頼も数多く引き受けてきた着物専門のクリーニング店です。
totonoe(ととのえ)では
- シミ抜き
- 黄変抜き
- 洗い張り
- 染め変え
など着物クリーニングに欠かせない専門技術を得意としており、丸洗いだけでなく、着物のさまざまな相談にも乗ってもらえます。
どこがいいのか迷っている方や、とりあえず着物をクリーニングに出したいという方にもおすすめです。
「下洗い」の風景
専用の洗浄液で口紅やファンデーション、皮脂などの油性の汚れやシミを落としていきます。
下洗いをしっかりと行うことで着物全体が綺麗に仕上がります。
注意点としては、発送時の送料は料金に含まれず自己負担であること、シミ抜きやシミの検品をして欲しい場合は、「匠診断」という検品つきのコースを選ばなければなりません。
初めてなので何をどこまで頼めばいいのかわからない、判断に迷うといった場合は、問い合わせをすれば丁寧に答えてもらえます。
きものtotonoe 6つの約束
- お電話やメールで直接ご連絡いたします
- 常にクリーニング品質の改善、追求を行います
- ご不満がある場合は、無料で再仕上げします
- クリーニングの事故、紛失防止の徹底をします
- 「お客様の声」を常に反映して改善していきます
- 「万一でのトラブルでも安心!」賠償対応いたします
\ お客様感謝キャンペーン実施中! /
2.わ蔵
- 汗抜き加工が無料
- シミ抜きが得意
- 国家資格『染色補正技能士』(着物を直す技術)の有資格者が在籍
- 実用新案取得の技術で着物が新品同様の仕上がりに
【わ蔵 WAKURA 】
振袖 | 11,000円 | シミ(軽度) | 4,400円~ |
振袖(絞り) | 13,200円 | 日数 | 2ヶ月 |
留袖 | 11,000円 | 保管 | 最長1年 |
子供着物 | 6,600円 | 送料 | 10,000円以上で無料 |
「わ蔵」は「もう一度あの着物を着たい」というユーザーの思いを大切に、シミの修復や復元にも力を入れている着物のクリーニングやお手入れの専門店です。
名古屋に店舗を構えていますが、宅配で申し込むことができ、シミ抜きや色の補正もお手のもの。
職人さんの手作業によるシミ抜き風景
専門知識と高度な技術を用いて、シミの種類や生地の種類に応じた処理を施していきます。
最も簡易なクリーニング以外は着物1枚ごとに状態が異なるため、事前にお問い合わせをするところから始めてみてください。
\ もう一度あの着物を着たい!に応える/
3.ワードローブトリートメント
- 1着ごとにカルテを作成・オーダーメイドのクリーニング
- 着物の特殊シミ抜き技術を習得した担当者が在籍
- 着物のクリーニングメニューが細かく用意されている
- 専門店より早めの仕上がり
【ワードローブトリートメント 】
振袖 | 25,000円~ | シミ・色褪せ等 | お見積り |
留袖 | 23,000円~ | 日数 | 見積了承後2~3週間 |
帯 | 11,000円~ | 保管 | 1シーズン2,200円 |
子供着物 | 14,500円~ | 送料 | 20,000円以上で無料 |
預かった衣類を1着ごとに洗う「一客オーダーメイドクリーニング」を実施しているワードローブトリートメントでは、振袖・留袖など、着物のクリーニングコースも用意されています。
素材の特徴や汚れの度合い・シミの有無を点検しカルテを作成、最も適した方法でクリーニングを行ってくれます。
越前に伝わる独自の着物シミ抜き技法を用いたハイレベルなシミ抜きは、実際に利用した顧客からも高評価です。
少々お値段はしますが、他の専門店よりもスピーディーに対応してもらえますので、着る予定でクリーニングに出したい方は特に出す価値がありそうです。
\ 最高級の丁寧さ・1客洗い /
4.キレイナ
- ご要望や衣類の状態に応じて1着ずつカルテを作成
- 婚礼着物など、着物クリーニングの実績も多数
- 高いシミ抜き技術
- 他店で断られたものも引き受け
【キレイナ 】
振袖 | 13,200円 | シミ抜き | 2,200円~ |
留袖 | 13,200円 | 日数 | 3~4週間 |
帯 | 3,300円 | 保管 | 着物はなし |
子供着物 | 6,600円 | 送料 | 11,000円以上で無料 |
「ウェディングドレス」「舞台衣装」「婚礼着物」「ハイブランドダウン」などの数々の特殊衣類を専門に扱ってきたキレイナ。
特殊なデザインや素材のものでも多く扱ってきた実績があり、着物に関しても安心して出すことができるでしょう。
シミ抜きなどの特殊加工、他の衣類のコースに関しても細かく料金設定されていて、アイテムの対応範囲が広いことが特徴です。
依頼品到着後に検品を行い、見積り了承後にクリーニング作業開始となります。
\ 着物もドレスもおまかせ /
5.リナビス
- 着物クリーニングの実績が多数ある
- 熟練の職人さんが着物の状態に合わせた修復・復元をしてくれる
- 国家資格の『染色補正技能士』を保有する職人が在籍
- リナビスユーザーはキャンペーンでお得に利用できる場合も
【リナビス 】
着物コース | 17,000円 | シミ抜き | 別途追加料金 |
2枚目~ | 9,900円 | 日数 | 1ヶ月 |
帯 | 5,500円 | 保管 | なし |
子供着物 | 14,300円 | 送料 | 無料 |
宅配クリーニング大手のリナビスの着物コースです。結婚式や成人式、七五三などで着用した大切な着物を1点1点丁寧に洗ってくれます。
振袖、留袖、喪服、訪問着などに加え、帯や襦袢、袴やその他の付属品も追加でクリーニングしてもらえます。
リナビスユーザーにとっては使い慣れてたサービスだと思いますので、安心して頼むことができそうです。
\職人さんが丁寧に着物をクリーニング! /
普段は虫干しで着物のメンテナンスを
着物のクリーニングについてご紹介してきましたが、普段のお手入れは昔から言われている「虫干し」が大切です。
虫干しって?
湿気やカビから守るために着物を陰干しすることよ。
陰干しして着物の水分を飛ばすことを「虫干し」といい、繊維に害虫がつかないようにすることです。
着物は箪笥にしまったままだと暖かく湿気がこもりがちになり、虫がつきやすい環境となっています。同時にカビも発生しやすくなるので、これらを防ぐために年に2~3度の虫干しを行いましょう。
- 晴天の2月頃
- 梅雨明け後7月下旬~8月上旬
- 晴天の11月頃
湿度が低く、晴れた日の日中10時~15時頃に、換気の良い部屋で実施すると良いでしょう。
忙しいと虫干しに時間をかけていられないということもあると思います。
そんな時は本格的に虫干しをするのではなく、箪笥の扉や引き出しを開ける、ハンガーに吊るすだけでも充分。
シミなどの早期発見にもつながりますから、長らく着物をしまい込んでいるというような方は、一度出して確認してみてくださいね。
京都市の方は地元の着物クリーニング専門店が良さそう
京都市の方はどうしているのかしら?
今回宅配で出せる着物クリーニング店をご紹介しましたが、業者さんは
totonoe:神奈川県横浜市
わ蔵:愛知県名古屋市
ワードローブトリートメント:福井県福井市
キレイナ:兵庫県尼崎市
リナビス:兵庫県西脇市
と、意外にも京都市内の着物クリーニング屋さんがゼロ。
京都市といえば、現代においてもお茶やお花、お寺や料理の世界など、普段から着物を着る習慣のある人たちが数多く行き交っている土地。
独自のしきたりやルールがありそうなイメージを抱くのは私だけでしょうか。
(筆者は一応京都「府」出身です)
京都市の方は、若い方で着物のことはよくわからない、という場合でも、一応お母さまやお婆様、知り合いの方に昔からお世話になっているお店がないか確認した方が良い気がします。
調べたところ、かなりの数の着物店、クリーニング店が存在しますね。
以上、蛇足だとは思いますが個人的に気になったので述べてみました。
まとめ
日本の伝統的な衣装である着物は、お手入れもクリーニング方法も洋服とは違います。
汗や湿気に弱いので、定期的に虫干しをしてお手入れを行い、着用した後は頻度に応じてクリーニングに出しましょう。
着物クリーニングのポイント
- 着物クリーニング専門店が技術面・料金面においても安心
- 「下洗い」「シミ抜き」などがどこまで含まれるかを確認
- 料金表があっても、相談・見積りが基本
- 宅配型なら比較・検討ができて自分に合うサービスを選べる
新しく買った着物、代々受け継いできた着物も、それ自体が高価なもの。自分の代でダメにしてしまうのはもったいないですし、そんなことになってしまったら残念ですよね。
質の良いクリーニング店を選べば、古い着物の修復や染め変えなども可能です。
着物は長く大切に引き継いでいきたいですね。