赤ちゃんやペットと一緒に暮らしている方にとって、日々の生活を快適に安全に暮らせるように気配りしてあげることはとても大切なことです。
小さな体には負担であることも多いので、私たちが普段何げなく使っている日用品に含まれているさまざまな化学物質には特に注意したいものです。こちらが気がつかないうちに好ましくない環境にしてしまうのは避けたいところですよね。
この記事では、衣類用の天然木の防虫剤と、使用上の注意点をご紹介しています。
天然の防虫剤なのに使用上の注意が必要なの?
赤ちゃんやペットは体が小さいから、天然のものでも注意して使わないといけないのよ。
結論からお伝えすると、人間の子供である赤ちゃんよりも、猫の方が防虫剤を使用する際には注意が必要です。
猫について
この記事でご紹介する天然木は、完全肉食動物であり、植物に対する代謝機能を備えていない猫には特に注意が必要です。ほとんどの植物は、猫の健康に好ましくない影響を与えます。
あくまでも衣類の防虫剤としてクローゼットや収納ケースの中でのみ適度に使用してください。猫に不必要ににおいを嗅がせたり、アロマオイルを使用しないように注意しましょう。
市販の防虫剤の安全性についての記事はこちらを参考にしてみてください↓
天然木の防虫剤の成分と注意点についてはこの記事で解説していきますので、参考にしてみてください。
天然木の防虫剤の成分の正体
本題に入る前に、
「天然木の防虫剤って何?」
という疑問を持たれるかもしれません。
天然木の防虫剤とは
「木を小さな板やブロック状に切り出しただけの素朴なもの」=ウッドブロック
のことを指し、チュラルで安全な防虫剤のことです。
でも、そんなものに本当に防虫効果があるの?
と思ってしまいますよね。
天然の木にはもともと防虫効果が備わっているんです。
森林浴をすると空気中に独特のにおいを感じ、すがすがしくリラックスした気分になると思います。その正体は、植物から大量に放出される「フィトンチッド」の効果によるものだと言われています。
フィトンとはロシア語で「植物」、チッドは「殺す(殺菌する)」という意味です。
つまり、植物はフィトンチッドを分泌することで、害を加えようと進入してくる周囲の細菌や虫を殺し、自らの身を守っているのです。
これが天然の防虫成分の正体です。
ちなみにフィトンチッドとはある特定の物質を指しているわけではなく、植物から放出されている成分全体の総称です。
木を切った後でも虫よけの効果は続くの?
伐採されてもその効果は続くみたいよ。だから、私たちが衣類の防虫剤として使うことができるのよ。
すご~い!
天然木の防虫剤 おすすめ5選
樹木なら何でも良いというわけではなく、衣類の防虫剤におすすめの樹木は5種類ほど。
天然木の防虫剤の代表的なものには
- クスノキ
- スギ
- ヒノキ
- ヒバ
- レッドシダー
などがあります。
どの材質も木材の良い香りがしますが、含まれているフィトンチッドの成分はそれぞれ微妙に違います。この中で衣類用の防虫剤として特におすすめなのはクスノキとヒノキ、レッドシダーです。
順番に見ていきましょう。
クスノキ
クスノキ(楠)は「クスリノキ(薬の木)」や「クスシキ(奇し木)」などと呼ばれ、古来から防虫剤や殺虫剤として用いられてきました。
その高い防虫効果はお墨付きです。
クスノキを蒸留して精製したものがいわゆる「樟脳(しょうのう)」です。着物から漂う独特のあの香りですね。また、クスノキから精製されたアロマオイルは「カンフルオイル」と呼ばれ、清涼感のあるツンとした香りが特徴です。
しかし、成分の強い樟脳ではなく、クスノキの原木ブロックをそのまま用いることで、よりナチュラルな防虫剤として使用することができます。
素朴なクスノキブロックは清涼感のある爽やかな香りで、しっかりと防虫効果を発揮しながらも安心して使うことができます。
猫にクスノキや樟脳は危険?
猫にとってクスノキの葉や実は有毒であり、痙攣・呼吸困難など中毒症状を起こす危険性があります。特に樟脳は強い揮発成分があるため、猫がいる場合使用は避けましょう。
問題は、クスノキの天然ブロックです。一部では「猫に優しい」としてサイトで販売されていますね。しかし、本来クスノキは猫にとって危険性の高い植物であることがわかっています。
とはいえ、外猫などはクスノキやその他の樹木のフィトンチッドが空気中に大量に放出されている森林をさまよい歩くこともあるため、判断は難しいところです。おそらくこれは、大自然の中か密閉された空間かの、空気中の濃度の差によるものだと考えられます。
成分が濃集されたカンフルオイルなど、アロマオイルの使用は絶対に避けましょう。
犬もクスノキは危険
クスノキは犬にとっても危険な植物です。葉や実を食べたり、カンフルオイルなどのアロマオイルの使用は不可です。天然木のブロックであっても、できるだけ衣装ケースの中でのみ使用するなど、取扱いに注意しましょう。
ヒノキ
総檜の家や檜風呂など、ヒノキの香りを嗅ぐと何とも言えずリラックスした気分になります。近ごろではあまり見かけませんが、昔は新築の家の横を通るとヒノキの良い香りが漂っていたものでした。
ヒノキにはピネン、テルピネオール、リモネンといったリラックス効果のある芳香成分が含まれています。日本らしいこの香りがリラックスして好きだという方は多いのではないでしょうか。
他の木と同じくヒノキには優れた消臭効果がありますので、クローゼットだけでなくロッカーや車の中など、さまざまな場所で使うことができます。
猫は柑橘系の香りが苦手
猫はレモンやみかんなどの柑橘系に含まれる「ピネン」「リモネン」という芳香成分を解毒することができないため、この香りが苦手と言われています。
この「ピネン」「リモネン」はヒノキにも含まれています。よって、ヒノキも猫にとっては注意すべき樹木です。アロマオイルなど濃縮されている製品や、密閉空間での使用は避けた方が無難です。
レッドシダー
日本では米杉(べいすぎ)と呼ばれていますが、北米を原産とするヒノキ科の樹木です。
レッドシダーは害虫を防ぐ成分であるシドロルやヒノキチオール、フィトンチッドなどを豊富に含んでおり、森林を思わせる爽やかな香りがします。
海外原産のヒノキといった感じで、こちらも防虫・消臭効果があります。
スギ
スギは私たちにとってとても身近な樹木であり、さまざまな製品にもなっているのはご存知の通りかと思います。
とはいえ・・・
衣類用防虫剤としてはすでにクスノキやヒノキといった樹木の実績が高く、製品の種類が豊富というわけではありません。防虫剤としてのおすすめ優先順位は低めです。
え。そうなの?
スギも防虫効果は高いと思うんだけどね。
ヒバ
ヒバには強力な抗菌・消臭作用や耐水性があるため、まな板に最も向いた木材とされています。また、ヒバ材をブロックにしたものは防虫剤として使うことができます。
ただし、衣類用防虫剤としてのヒバの製品は多くはなく、切り出しただけのチップを自分で袋に詰める・・・というような手間がかかることもあります。
ヒバ製品はお店にあまり出回っていませんので、運良くお店で見つけたらとりあえず買っておきたい、貴重な素材と言えるでしょう。
ウッドブロックと一緒に使うアロマオイルは?
- ウッドブロックに垂らして使うアロマオイルは、赤ちゃんは低濃度(大人の半分以下)で使用。
- 猫がいる場合はアロマオイルは室内に拡散させない(使用不可)
- 密閉空間である衣装ケースの中だけで使用するのは可
ウッドブロックなど天然木の防虫剤は、何度でも繰り返し使えるスグレモノです。
しかし、時間の経過とともに芳香成分(防虫成分)が感じられなくなってくるという弱点があります。
そんな場合は、ウッドブロックにクスノキオイルやヒノキオイルを垂らし、成分を強化して使用するようになっています。
製品によっては、はじめからオイルがセットされているものも。
でも、ちょっと待ってくださいね。
赤ちゃんや猫と一緒に暮らしている方は、アロマオイルの使用はできるだけ避けてください。
たとえ100%植物由来のものであってもアロマオイルは非常に純度が高く、代謝するために肝臓などに負担がかかります。
使用する際には室内の空気中の濃度が高くならないよう、また、誤飲を避けるため、使用時には細心の注意を払いましょう。
結局、猫に安全な防虫剤とは
結局 猫が安全に使える防虫剤ってあるのかな?
確かに、気をつけなければいけないことばかりね。
アロマオイルや植物由来の防虫剤の使用がなぜ難しいかというと、植物に含まれている芳香成分を猫が代謝できないからです。また、体が小さく肝臓や腎臓の処理機能も人間ほど備わっていません。
つまり、花であれ樹木であれ、基本的に植物系は猫にとっては危険なので避けた方が良いということになります。
となると、混乱させて申し訳ないですが、この記事でおすすめの天然木の防虫剤を使用するハードルも上がってしまいますね…。
しかし、です。
天然木の防虫剤って木をブロック状に切り出しただけのものだよね? 猫も森を歩いたりするし、大丈夫じゃないかなあ。
そうね。油断は禁物だけど、大人の管理のもと衣替えに防虫剤を使用するだけであれば、そこまで神経質にならなくてもいいかもしれないわね。
何といってもウッドブロックは素朴な小さな木片ですから、そこまで害はないことを期待したいですね。
それでも「植物性のの芳香成分そのものを避けたい」という方は、ほ乳類には安全とされている無臭性の市販の(化学合成)防虫剤を使用するという選択肢もあります。
難しい選択ではありますが、どちらにしても、防虫剤の成分は衣装ケースなどの密閉空間でのみ使用し、室内に充満させないようにすればそれほど危険なものではないはずです。
市販の防虫剤について、詳しくは下記記事で解説していますので、興味がある方は読んでみてください。↓
赤ちゃんや猫に安全な天然木の防虫剤 まとめ
この記事では、素朴な天然木の防虫剤5つをご紹介しました。
- クスノキ
- ヒノキ
- レッドシダー
- スギ
- ヒバ
化学物質を使用しておらず、自然のチカラを借りて衣類を虫から守ってくれます。
赤ちゃんにとっては優しい天然成分ですね。
猫や犬と一緒に暮らしている方は、特にアロマオイルと併用する場合は、残念ながら手放しでおすすめというわけにはいきませんでした。
しかし、少し注意して使用すれば、加工を加えていない天然木の防虫剤はナチュラルで人にも環境にも優しい製品です。
天然木の防虫剤は、基本的には安心できるアイテムなのでおすすめです。私もお気に入りですよ。
優しい森の香りがするよ。試してみてね♪